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携帯電話サービスは1979年に自動車電話として登場したが、1985年の通信自由化以降、88年に日本移動通信とセルラー電話グループの参入、92年のNTTからのNTT移動通信網の分社、93年の端末の売り切り自由化、94年のツーカーとデジタルホンのデジタル方式のサービス開始、95年のPHSサービスの開始など、値下げ競争や規制緩和、サービスエリアの拡大により加入者数が飛躍的に伸びている。アナログ方式は歴史が古いため利用できるサービスエリアが広いが、NTT方式とモトローラ方式の2系列がある上に、周波数の不足で導入された帯域幅を半分で済ませる方式もそれぞれ2系列あり、異なる方式同士でエリアを共有することができなかった。93年にNTTドコモがデジタル携帯電話サービスを開始した際には、国内の統一規格が採用されたため、デジタル携帯電話では異なる事業者のエリアでもサービスが受けられるようになった。また、デジタル方式では、周波数帯域が800MHz帯と1.5GHz帯の利用ができる上に、音声符号化技術により従来の帯域で3チャンネル確保できるようになり、95年から導入されたハーフレート方式によりさらに2倍に広がってアナログ方式の6倍の収容率となった。

近年のように普及が広まり、使い勝手も向上すると固定通信網とのシームレスな接続が求められるようになる。とりわけPHSはデジタル方式で通話チャンネルを4つ持つため、データ通信や静止画、動画などの送信が可能であり、携帯移動端末として発展することも可能である。96年9月に郵政省は2000年の実用化を目指し、世界のどこからでも利用でき映像情報のやり取りも可能な次世代移動体通信システムの開発に着手することを発表している。

(2) 競い合う衛星通信産業

95年の情報通信サミットでの国際共同プロジェクトの1つに掲げられているように、衛星通信システムは他の情報通信分野ほど進んでいなかった。

陸地から遠く離れた海洋上での船舶通信の必要から、1979年に国際海事衛星通信機構(インマルサットが設立され、82年から各国が共有する海事衛星通信システムとして運用を開始したのが、衛星を利用した移動通信サービスの初めである。96年3月現在、加盟国数は79カ国となっている。インマルサットは赤道上空36,000kmの静止衛星(GEO)を利用するため、地上から遠く離れた衛星との電波の送受信には地球局を大型にし出力を大きくする必要があった。このため船舶搭載用のアンテナは大型でも問題はなかったが、地上で人間が持ち運ぶのは不可能であった。しかし、アナログ方式のA

 

 

 

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